第三章〜名機への憧れ〜

 

社会人になり、経済的余裕が出始めて、オーディオを買おうと思った。
だが、肝心な事を忘れていた。「何を買えばいいのか」という事であった。
「新品」「中古」「アンプは」「プレイヤーは」「スピーカーに金をかけたほうがいいのか」「とりあえずでかければいいのか」
などなど疑問が頭に浮かんだ。結局、ハードオフで中古を購入し憧れの5.1システムを組んでみたが・・・
「やはり2chに限る!」なんかイマイチぱっとしないのであった。憧れのmarantzのAVアンプを買ったいいが、
音がさっぱりし過ぎている。即売ってしまい、YAMAHAのAVアンプを買ったがこっちもひどかった。
5.1chの映画などではそれなりに聴こえるが肝心の2chがまったくダメなのである。フロントのスピーカーも3000円のジャンクだからダメだった。
結局、センターとリアを(こいつらは美品でそこそこのものなので)残し、アンプ、フロントは買い換えることに。

そして、色々と調べてみるとどうやら「プリメインアンプ」なるものがあるらしい。2chではこいつで聴くとよさそうなのだ。
ハードオフの機器は旧式と思われるものが多いのでそれらの情報を集めていたところ、あるサイトにたどり着く。

「オーディオ懐古録」である。このサイトはかつて昔、名機と呼ばれた機器たちの情報が詳しく載っている。
写真はもちろん、何年に発売され、どんな作りなのか、どのような音を出すのか等が書いてある。
僕はすっかりこのサイトにはまってしまった。仕事の10分休みにも見ていた。
ハードオフでなにか良さそうなものがあったらこのサイトに載っていないかチェックし、
サイト内の機器の型番をプリントアウトしてハードオフで同じものが無いかとチェックしたり・・・

気づいたときには、すっかり旧式オーディオファン?なるものになってしまい、「名器」と呼ばれる機器達は一体、
どんな音がするのか、ふれて見てみたい、そんな欲求が自分の中で膨れ上がれ、オーディオ熱をより一層加速させたのである。

なによりも昔の機器が今のオーディオとも負けないくらいいい音を出すのは驚いた。
電化製品というものは、日々進化しており、価格は安くなり、性能は向上する。
だが、オーディオは昔のものでも最新のものとも張り合える。僕はそこに惹かれたし、なによりも価格が新品と比べて安い、
作りが重厚、製作者の熱意まで伝わってくる感じである。

僕はとても高級オーディオなどは買えるほどの収入は無い。だが、ほんの数万円で素晴らしい音を聴かせてくれる「相棒」達が
中古屋さんでゴロゴロしている。こんな素晴らしいことは他には無い。

日々、感動や癒し、力を与えてくれる音楽をいい音で聴ければ越したことはない。
ネットでは「ガラクタ」「デカブツ」などの誹謗中傷が目立つが僕は気にしない。
死ぬまで名機を愛し続けるだろう。何故ならば彼らのことが「好き」だからだ。


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